人はどこまで偉くなっても満たされない件

2019年4月3日日本の論点, 処世術

とある取締役との会話

ある日、とある上場企業の取締役と会食した。有名な企業の役員だけに、秘書もついていれば車もついている。サラリーマン的には十分に出世したポジションにおり、多くの人達からすればうらやましいポジションともいえよう。

彼が店から出た時、入り口には車が待機していた。

その車に乗って、そのまま家に帰るのだという。

私は彼にお世辞交じりに言った

「運転手付きの黒塗りの車に乗られてすごいですね」。

その言葉に対して彼はこう返した

「いやいや自分が乗っているのはただのクラウンだよ」。

そんな彼の言葉の裏には、運転手付きの車に乗っていても自分よりも上がいる、といった響きがあった。実際、東証一部上場企業の社長はマイバッハやレクサス、センチュリーなど、その辺の高級車の一歩上をいく車に乗っている事が多い。

ベンツはあまり見かけないのだが、もしかしたらトヨタとの営業上の関係から乗れないのかもしれない。

いずれにせよ、大企業の上層部といえども、やはりそこには更なる大企業や立場が上の人達がおり、立場の違いを感じざるを得ない場面があるという事である。

そこまで登ったからいいじゃん、と客観的には思うものの、上に上がってみれば、更に上がいる、という現実はどこの世界でも同じである。

個室と女、そして車を求めて偉くなった先には何があるのか。それを求めて偉くなるとすれば、いずれ自分が何者でもない事に気づいてしまう。

それに60歳過ぎてから気づくなんて、人生を燃やし尽くした先の結論としてはあまりにもむなしい。

待遇が保証される確率が高いキャリア官僚の世界でもこのような待遇を求めて年を重ねていくものが多くいるが、ほんとうに価値があるものを自分なりに見つけられるかどうかが、人生を豊かに生きる上での分かれ目となるのであろう。    


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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