【投資詐欺】業者をボコボコにした時のはなし【ヘッジファンド】

2018年3月17日資産運用

 

ヘッジファンドとの出会い

世の中にはいろいろな種類の投資がある。これまで私は株式投資一本でやってきたが、よりハイリスクハイリターンな投資から、ローリスクローリターンな投資迄、色々やった上でどういう資産配分がベストかを考えたいと思っていた。

そこで、不動産投資、リート、仮想通貨など色々検討してきたが、株式投資を通じて、時々大株主として名前が挙がってくるヘッジファンドに興味を持つようになった。明らかに収益性が高い株に投資しているケースも少なくなく、世界的にも相当利益を上げている高名なファンドはいくつも存在する。

株の投資がへたくそな自分よりも、儲けているヘッジファンドに資産を預けて運用してもらうほうが早いのではないか・・・。そう思って調べ始めた。

ヘッジファンドへの投資方法

自分が知っているところでは、ブラックロック、ブリッジウォーター、ミレニアルなどがあり、かたっぱしから調べてみたが、そういったファンドに直接投資する為には海外において銀行若しくは証券口座を持つ必要がある事がわかってきた。

海外銀行口座の問題はクリアできそうな感触があったものの、口座を持った上で現地居住者かどうかが投資可否の分かれ道になってくるようであり、どうにもそれ以上進まなかった。

直接投資がダメなら、国内で投資する方法がないか探してみた。すると、国内の証券会社などが、海外ヘッジファンドを幾つか組み合わせて商品化しているものなどが見つかったが、いかんせん手数料等が高い。裸リターンが10%を超えていたとしても、証券会社の手数料に加えて、為替換算等を考えると、マックス4%くらいで、失敗すればマイナスという様子であり、全くうまみが無いと感じられた。

そして、もう一つの方法がUBSなどの海外銀行に2億円~の資産を預けて、その銀行への預け資産を活用して、銀行に投資してもらうという方法がある。このやり方はある意味理想的なのだが、そもそもそんなに現金はないのであきらめた。

そしてたどり着いた国内ヘッジファンド

そして、更に調べていくと、国内でも投資できるヘッジファンドという情報が出てきた。このようなファンドがある事自体全く知らなかったので、興味津々で食い入るように画面を見て情報収集していった。そして、以下のようなヘッジファンド若しくはそれに類する商品がある事がわかってきた。

M&S
BMCAPITAL
レッドキャピタル
日興レジェンド・イーグル

兎に角興味津々だったので、この中の1社にコンタクトして話を聞いてみた。

某社担当者との会話・・・

都内某所にて、ヘッジファンドの担当者と打ち合わせした。先ず3社に電話したところ、オフィス移転中若しくは現在改装中でオフィス内での打ち合わせが出来ないんです・・・との回答。

完全に胡散臭い・・・顧客の資産の預かり単位は1000万円~と言っている会社がオフィスすらないというのは怪しい。私はすっかり疑いモードで商談に臨むこととなった。

そして、商談にて担当者の話を一通り聞いた。ファンドマネージャーが有名大学を卒業し、有名外資系投資会社で華々しい成績を挙げた、といった話を滔々と語っていた。

私は、相手が素を見せるところまで、糸を垂らして釣ってみようと思っていたが、相手も中々のもの、自分の経歴や会社の概要など、事前に準備されたであろう情報を1つずつ答えていったので矛盾点を見つける事が出来なかった。

20分程話していたところ、いよいよリターンの話になった。担当者曰く、毎年10-30%の収益を上げているとの事。私は、そんな投資は相当リスクを負わないと出来ないと思うがどうやっているのか?と問うたところ、バリュー株を丁寧に探し出して投資する戦略との事。

いやいや、バリュー株投資はある程度根気強く時間をかけてやるものであって、年間10-30%のリターンなんて無理だろ・・・と思いつつ、例えばどんな会社に投資しているのか、と聞いてみた。

すると、投資している先は一切答えられない、との回答。

それでは、投資先への投資方針を教えてほしい、例えばPER、PBR、ROE、ROA、カントリーリスク、など色々な指標があり、それらを加味した上で投資先を決めているものと認識するが、どのような基準かと聞いた。

すると、それを知っているのはファンドマネージャーであって、自分は知らない、と言い始めた。その回答を聞いて、カーっとなった私は「1000万円以上の投資を引き出そうとしている営業マンが、ファンドマネージャーに聞かないと分からないものを売りつけるとは何事か。あなたは相手がリスクはわからないけど買ってください、と言っているものに、命よりも大切な金を預けるのか?」と怒気を含みながら問うと、わからないけど、信用してもらうしかないんです、このリターンが全てを物語っているかと思います、と言い始めた。

そこで私は畳みかけるように質問した。

投資対象先がわからないのに、そのファンドの運用成績をどうやって確かめるのか、投資先がわからないなら、秘密の先に投資して儲かってます、と言いながら凄まじく右肩上がりなリターンの資料はいくらでも作れるのではないかと。

そしてさらに聞いた。例えば、ファンドが何に投資しているのかわからなければ、出資者達の出資金を、既存投資家への配当に回せばファンドは回るのではないか。例えば、1000万円を出資した人に毎年100万円配当するとすれば、10年に1人1000万円を出資する人を探せば理論的には回るだろう。その自転車操業、若しくはマルチに近いようなビジネスをやっていない、という事をどうやって証明するのか、と。

ここまで詰めると、相手は「いつもはアホを相手にしているのに、ややこしいのがやってきたな・・・」という雰囲気になり始めた。

私がそういったスキームをなんと呼ぶか知っているか、と聞いたところ、ポンジスキームです、と答えた。

それではポンジスキームで巨利を得つつも最後に破綻したウォール街の投資家と、その人がなぜ一定期間の成功を収めたのか述べてみよ、と詰めたところ、知らない、との反応だった。

そしてさらに詰めた。

日本国内において、ファンドとして広く出資を募る為には金融証券取引法上をクリアする必要があるが、それをクリアする要件は何か。世界のヘッジファンドのうち、成功しているファンドが重視している指標は何か、その指標はあなたのファンドでどう活用されるべきか述べよ、と詰めたところ、営業担当者が半泣きになってきた。

ヘッジファンド営業担当を追い込む

そして更に追い込むべく、何一つ証明するものが無いのか、と聞いてみた。
すると、最後の切り札、と言わんばかりに、「大量保有報告書って知ってますか?それを出しているのは本当に株式を保有している証です」と言い始めた。

そこで私は「それはEDINETで閲覧できるが、EDINETの管轄省庁並びにそれがどのような法令に基づいて運用されていて、悪用されているケースなどを述べてみよ」と問うたところ、営業担当の目がうるみ始めた。

更に畳みかけた。

「大量保有報告なんて、5%買ったら出せるのだから、自己資金1億円投入して大量保有報告だして、それを信頼の証、とするのは詐欺まがいの行為である。仮に大量保有報告が健全なファンドの証、というのであれば、どういう方針に基づいてその会社に投資したのか詳しく説明するとともに、そこへの投資が全体の何パーセントか開示してほしい」。

ここまで来たところで、営業担当者がそっとハンカチを取り出して目元をぬぐった。

陥落したヘッジファンド営業担当

ここぞ正に相手を陥落させるチャンス、と思った私は、「××さん、色々と説明してくださってありがとうございます。おそらく私はあなたよりも投資の知識がありますし、沢山の企業人を相手にしてきているので、相手が自分の言葉を信じて話しているかはすぐにわかってしまいます。実際××さんは自分の売っている商品を信じられますか?」と優しい顔で聞いた。

更に、「××さんは、営業担当としてとても優秀だと思う。若くて見た目も良いし、あまり知識がない人であれば、営業トークを信じこませる腕があると思う。そんな××さんが、自分が信じる事が出来ない商品を売っている姿を見るのがつらい。あなたはそんなところに留まっているヒトではないし、もっと××といった事業で活躍できると思う。今ならまだ遅くないので、別の業界にチャレンジしてみてはどうでしょうか。」

と聞いてみたところ、「実は私もそう思っていました・・・ここまでお話ししてきましたが、このスキームは仰る通り、ポンジスキームそのものです。非課税国に作った法人に出資させるスキームも、実態がないんです。自分は末端の営業担当なので、それ以上のことはわからないけど、少なくともまともに投資活動している会社ではありません。。。」

と言い始めた。
アウト確定である。

予想通りの結末だったので、それ以上追及はせずお別れした。

終わりに

実はこういったヘッジファンドの投資を募るサイトというのが、グーグルでも上位に表示される。このような投資詐欺が上位に表示されると、投資に関する知識がない人はコロッと騙されてしまう。

だが、このような詐欺業者をのさばらせてはいけない。ポンジスキームを放任すると、無限に出資者を募る、マルチまがいのビジネスが横行して国が破綻しかねないので、金融庁はこういった勧誘活動を厳しく取り締まるべき、と強く思った次第である。

以上

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この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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