Coin Checkから580億円のNEMが流出した件

2018年1月27日資産運用, 日本の論点

やはり仮想通貨市場の信頼を大きく損なうような事件が発生してしまった。

580億円のNEMが誰かに盗まれてしまった(NEMとはビットコインのようなメイン仮想通貨ではなく、亜流仮想通貨の1種。これらの亜流仮想通貨は「アルトコイン」とも言われる)。

今の仮想通貨の取引は危険と表裏一体であり、信じられない程手軽に仮想通貨を買える分、信じられないほどのリスクを負いながら取引しているのにほかならない。

イメージでいうと、東京証券取引所での取引が

こんな感じの防御力だとすれば、

仮想通貨の取引所は

これくらい、

いやむしろ、

これくらいのイメージである。

そこに何千億円もの金がごっそり入っているのだから、悪いやつらが狙わないわけがない。経済制裁を食らっている北朝鮮などは、100億円かけてハッカー集団トレーニングしたとしても、400億円のおつりがくるので、余裕でやるだろう。

しかし、こんな取引所に命より大切な資産を預けようと思う個人もリスク意識が低いと言わざるを得ないが、取引所のほうの責任は極めて重いと思う。沢山の人達がお金を預けているのに、いとも簡単にお金を流出させてしまったのだから。

今回のケースで何が起こったかと言うと、要は顧客が取引所(コインチェック)に預けている仮想通貨(今回の場合NEM)をずっとオンラインに置きっぱなしにしていたことで、盗まれてしまったという事である。

本来、取引所として安全性を高めるためには、取引が完了して取引所に預けられる仮想通貨をオフラインの保管所に落とし込む必要がある。そこに保管する事で、外敵に盗まれるリスクを大きく下げる事が出来る。

しかし、今回のケースではその対策を講じていなかった。

しかも、複数の電子署名によって仮想通貨取引の安全性を高めるマルチシグと呼ばれる技術の導入も後回しにしていた。

顧客のお金を預かる立場において、自社の成長を優先し、資産保護に関する対策を講じなかったというのは、倫理的に許されない姿勢だろう。企業とは、顧客やステークホルダーと信頼で結びつく存在であって、金もうけのマシーンであってはならない。

コインチェックの記者会見で以下のようなやり取りがなされた。

記者:(秘密鍵を分散管理する)マルチシグで保管していなかったのか。

和田社長:「やっていなかった。結果的にこうした事態を引き起こした」

記者:セキュリティーが甘かったといわれても仕方ないのでは。

和田社長: 「顧客から資産を預かる立場としてセキュリティーでやれることは全部やる。やれることを全て、できる限りやっていた。マルチシグの対応予定はあったが、他に優先すべき事象があり、いつという見通しがついていなかった」

これはふざけているとしか思えない。

何を言っているかというと、「お客さんの資産が失われるリスクは認識していたが、そんなものは二の次だと思っていた。(CMを大量投下して露出を増やすなど、顧客保護よりも顧客獲得に全力を注いできたことから)一番大切なことは、Bitflyerなどの競合とのシェア争いを勝ち抜き、仮想通貨の取引所として確固たる地位を確保し、ベンチャー企業として大きく成功することだった。成功することで、社長である自分は地位も名声も得られる。だから、それを優先していた。」

私にはこう言っているようにしか聞こえない。

しかも、580億円を返済すると言っているが、そんな現金が手元にあるのだろうか?これから顧客が一気に離れ、あらゆる問い合わせに追われまくり、社員が沈む船から逃げ出すように辞めていく中で、どうやって580億円を返済するのだろうか?

私は、この和田社長はStorysを立ち上げたり、すごい人だと思っていたが、このようなマインドで仕事に取り組む人だったというのが残念でならない。

金融というのは、医療業界と並んで高い倫理観が求められる業界である。下手したら金は人の命より大事な場面もある。そんな金を守れない人、守ろうと思わない人は、絶対に金融に関わるべきではない。

和田社長並びに取締役たちは、今後命を懸けてこの問題の解決に取り組み、人生をかけてでも仮想通貨そのものの信頼性の回復に心血を注いでいくべきであろう。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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