志高く~孫正義正伝~

「髪の毛が後退しているのではない、私が前進しているのである」

この名言の人物こそ、ソフトバンクグループ創業者の孫正義である。一代でこれだけ巨大な会社を築くには、並大抵の努力や発想がなければなし得ないことは何となく想像がつくが、本書を読むと、具体的にどんな努力を重ね、どんな考え方で過ごしてきたかを知る事が出来る。

細かい説明は多々書評等があるので省略するが、私が衝撃を受けた点を幾つか書きたい。

先ず私が衝撃を受けたのが、高校生の頃に藤田田氏(日本マクドナルド社長)に無理やりアポとっている事である。藤田氏は『ユダヤの商法』*という本を書いており、これに感銘を受けた孫氏が会いたい!と思ってアポをとらんと動いたもの。
*こちらもかなり面白い本。小便する時はいきんでもダメで、流れるものは自然と流れるに任せるがよく、物事の摂理をきちんと捉えて経営に取り組まねばならないと説く等、たとえ話も興味深い。

私も20代のころ(会社員になってから)、全く自社と取引が無かったり、関係がない東証一部上場企業の社長に無理やり会ったりしたことはある。入り口で待ち伏せして、挨拶を繰り返して、最後には2人で会ってもらったりした。

だが、それは会社の名前や色々な人的関係でレバレッジを利かせたからこそ出来たわけで会って、ただの高校生が企業の社長に会うというのは尋常ではない。

そして、次にカリフォルニアバークレー校に進学し(ってこの時点で相当凄いのだが)、金がないので発明で稼いだ。。。ってこれだとなんか独創的なアイディアを持った発明王的なイメージを持つが、稼げる発明を考え付くに至った流れがすごい。

孫氏は、発明するには数が大切だと考え、5分に1つ発明を考え付いてはそれをパソコン(当時の超原始的なもの)に書き込んでいった。寝ていても飛び起きてはメモするほどに凄まじい集中力で大量のアイディアを生み出し、それを現代のエクセルっぽいものに仕立て上げて、実行確度や投資金額等でランキング付け。

上位に残ったものを実行に移した。。。

いや、もう変態。私もこれを真似てみようと思ってやってみたが、5分に1個思いつくほど覚悟がないうえ、100個も書き出したら耐えられずにやめてしまった。

結局孫氏は250個も発明を考え、そこから「音声機能付き電子翻訳機」を具現化し、企業に1億円で売る事が出来た。。。

って、いやもう変態です。しかもこの時点で22歳。

更に、19歳の時に人生50年プランまで考えて実行し始めている。。。

20代で名乗りを上げ
30代で軍資金を最低1000億円貯め
40代で一勝負し
50代で事業を完成させ
60代で事業を後継者に引き継ぐ

本を読み進める程に、人間としての実力が半端ではなく、自分と比べると、人間と昆虫くらいの差があると感じさせられざるを得なかった。

もう、書かれている一言一言がすごすぎるものの、具体的な情景が浮かんでくるリアリティのある話なので、吸い込まれるように読んでしまった。

この本を読んで色々マネしてみた事はあるが、自分が何歳になっても、マネできる事がある。それは、高い志を持つ事、その志を実現しようと強く願うこと、そして志の実現に向けて持てる力を出し切って、命を懸けて勝負する事。

これくらいなら自分にも出来る。

松下幸之助氏が唱えた「ダム式経営」という言葉がある。川が氾濫したり、日照りの時に水が足りなくなったりしないよう、ダムを作る事が大切、というものである。

直感的にダム作れば良いというのは誰にでもわかるが、実際にはダムを作るお金が無かったり、ダムを作る為に山をくりぬかねばならなくて数多の困難があったりして、そもそもダムを作るのが大変だったりするので、ダムが出来ないのが問題だったりする。

ここで、ダムを作る金がないとか、色々な理由を並べ立てていては物事は実現しない。この松下幸之助氏の「ダム式経営」の言葉は孫正義氏の「志高く」という考え方と、本質的に何も変わらないと私は思う。

どんな困難が予想されても、それを自分の手元で対処できるところまで落とし込み、一つずつクリアしていくこと。絶対に諦めない覚悟を以て、死力を尽くして志の実現に取り組むことが大切、と言っているのである。

それも、強く願う事、目が覚めても、寝ている時でも、果てしなく念じて願い、自分の力を信じて志の実現を目指す事、これが何より大切と言っているのである。

孫正義氏、松下幸之助氏は尊敬する経営者たちであり、いつも本を手元においては見返すようにしている。私も志の実現に向けて死力を尽くしていきたいと改めて思う次第である。


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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