2月13日(火) ブラックマンデー戦記
2018年2月13日(火)
2月2日(金)から数えて2週目に入った。激しい値動きによって発生した700万円近い巨大な損失が心の余裕を削り取り、ふと株の動きを思い返しては苦い気持ちに浸る週末だった。
今週月曜は建国記念日の振り替え休日の為、日本市場が休みだった。よって、月曜のNYダウや各国の市場の様子を見守った上で、売買が出来るという有利な条件での週明けとなった。
月曜のNYダウは410ドル(1.7%)の上昇で引けており、VIX(恐怖)指数もマイナス20程度まで下がってきており、ジワジワと市場の緊張感がほぐれつつある状況だった。
よって、本日の動きとしては、概ね堅調に推移する事が予想された。
先週末から持ち越したのは丸紅の空売り100万円程度と三井物産、ヨコオの株を夫々50万円ずつくらいだったため、どっちに転ぼうと大したダメージはない、と余裕をかましながら前場スタートを待った。
9時、寄付。予想通り、どの株も寄り付きが高く、3-5%程度は上振れて始まっている。とりあえず丸紅の空売りは手放し損切。
ここで、悪魔がささやく。
「意外と世界の株式市場は堅調に戻しつつあるし、明日はクリヤマホールディングスの本決算発表予定日。ここで仕込んでおかないともう買い場はなくなる」。
「自分が成長を信じた株を買っていたのに、暴落で手放すなんて、単なる市場の養分。買い向かってこそ賢者」。
そんなささやきは、実は週末から聞こえてきていたのかもしれない。意識し続けていたことが、ただ悪魔のささやきとなったような気がしただけである。
そして気づけば、全力でクリヤマホールディングスの玉を集めていた。兎に角狂ったように買いまくった。
ありったけの持ち金を叩き込んで、2600円手前くらいで9000株(約2400万円)分、買いまくった。
そして、続いて信用もいって、2階建て全力でいこうかと思ったが、さすがに思いとどまった。予測できない世界経済の波は、個別企業の業績など簡単に吹き飛ばしてしまう事は、先週二度の大暴落で痛すぎる程にわかっている。
それがわかっているならば、なぜにこのタイミングで全力投球するのか、と問われれば、登山家と同じ気持ちだとしか答えようがない。
そこに山があるから、そこに下がっている株価があるから、持ち金をぶち込んでかけてみたいのである。
日々平凡なサラリーマン人生を送っているが、心の中にたぎるCharging Bullの精神が、度重なる暴落でふつふつと燃え、発火点に達してしまったのである。
2月14日(水)22時30分には米国CPI(Consumer Price Index消費者物価指数)、15日の生産者物価指数等が発表される。この発表次第では、株価が大きく動く可能性がある。
本ブログの読者にもはや説明は不要かと思うが、一応解説しておく。
1. CPI・雇用統計等の指標が株価に影響を与える理由
CPIとは簡単に言えばインフレ指数のことである。インフレの進行(FRBの目標CPIは2%)は、経済の好調さを示す要因となる。
このCPI発表がカギになるのはなぜかというと、先週の2度の暴落が、経済の堅調さを占めす雇用統計(2/2発表)によって引き起こされたと言われているからである。堅調な雇用統計を受けた投資家たちは、FRB(米国連邦準備銀行)が利上げを早めると感じ、利上げになると株価が下がるので、恐怖を感じて売った、という流れである。
2. FRBの利上げで株価が下がる理由
では、なぜ利上げで株価が下がるのか。利上げ、というのはFRBが市中の銀行に貸し付ける短期金利のレートである。この短期金利をコントロールする事で、FRBは市場への金の巡りを制御している。
短期金利を下げて、金の巡りを良くすると、景気が良くなるが、今は経済が過熱気味なため、FRBは一旦水をかけて(利上げして)景気を鎮めるタイミングを狙っている。故に、今年中に4度に分けて利上げするという観測が広がっている。
短期金利が上がると、景気引き締めにかかったと皆が感じ、株価が下がる、という仕組みである。
3.長期金利と株価の関係
短期金利とは別に長期金利というものが存在する。長期金利とは、米国が発行する国債の金利ととらえて良いだろう。国債の金利はFRBや政府がコントロールできるものではなく、主に国債の需給によって決まり、短期金利の影響も少なからず受ける。
つまり、需要を超えて国債を沢山発行すると国債の価格は下がる。国債は金利を定期的に所有者に払うものなので、国債の価格が下がると、相対的に受取金利が上がる。そして、短期金利が上がれば長期金利にも上げ圧力がかかる。
先週の株価暴落の要因の1つが、大幅減税やインフラ投資による国債増発懸念が、国債の取引価格を下げ、長期金利を上昇させたという点にある。加えて、中国が保有している米国債を市場に大量放出したのも一因であろう。
長期金利が上昇(現在約2.8%)すると、投資家は価格増減の激しい株式投資から、一定の金利収入を得ながら価格増減が緩やかな債権へと移ってくる。つまり、株価は下落する。
以上、3点を纏めると、要は、米国市場が景況指標を見ながら、FRBの利上げタイミングにやきもきしているという状況である。
話を戻すと、2月14日に発表されるCPIが2%前後に収まると、FRBによる短期金利の利上げが早まる可能性が高いと市場が感じ、景気引き締めが始まるのを嫌気して株価が下がる。更に、長期金利もそれに引きずられて上がるので、国債への移行が進み、一層株価の下げ圧力が高まる。
今週は米国のCPI発表を世界が固唾をのんで見守る展開であり、それに向けてリスクを取り辛い為、世界の投資家たちが株式資産の圧縮に動くだろう。
しかし、2度の暴落を通じて、世界の市場関係者は様々なリスクを織り込んだのではないかと私は思う。先のブログ記事に、トレンド転換局面において、株価は暴落、上昇、暴落、小幅上昇、下落下落、という流れをたどると書いた。また、市場が壊れる局面において、強気の観測が広がる、ということも書いたが、今回の市場が崩れるとはどうしても思えなくなってきた。
これだけ世界経済が堅調で、米国・日本共に続々と開示されている企業決算は好調そのものである。よって、本日膨大な資金を投入した次第だが、この決断が吉と出るか、凶とでるかは、今週末にはわかるであろう。
以上
大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」
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