エルサレムとユダヤ教徒⑤

2018年1月20日世界史の窓

それでは何故、ユダヤ教徒がこのように経済界に力をもつにいたったのか。

この理由こそがユダヤの民族の歴史を紐解く鍵であり、エルサレムの歴史とリンクしてくる。

以前述べた通り、ローマはキリスト教を国教に指定した。キリスト教は一神教であり、他の宗教を認めない素地がある。故に、キリスト教はユダヤ教も迫害した。

ユダヤ人はもともとエルサレムに国があり、そこに住んでいたが、大きな戦争に破れて散り散りになった。

散っていったローマ帝国の領土内では迫害される日々が続いた。キリスト教とオリジンは同じであり、一定の信徒数を有していただけに迫害は激しかった。

迫害されるほどに、生命や財産の危険を感じ、やがてユダヤ人は財産を常に身にまとい、金目のものを持ち歩くようになる。

そして、金に困った人達に、持っている金を貸して利子をとるビジネスに走るのである。

ユダヤ人はこうして金持ちになる一方、定住地は持たないくせに、金を持っていて、一度金を借りれば骨までしゃぶるユダヤ人への反感が高まっていった。

そして、動乱が起こるごとにユダヤ人は定住地を終われ、固定資産を奪われることを繰り返し、一層流動資産たる現金をもち、それを貸し付けるビジネスに傾倒していったのである。

続く


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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