親族の死と将来への決意

2018年3月20日日本の論点

最近、親族が亡くなった。

焼き場で静かに立ち上る煙を、不思議な気持ちで見ていた。親族が亡くなると、その人と過ごしてきた時間を思うと、涙がこぼれる。

不思議なのは、なぜ涙がこぼれるのかという事である。その涙は同情なのか、悲哀なのか、惜別なのか、あるいはそれ以外の何かなのか。

焼き場で一瞬のうちに骨となり、煙になって空に漂う様を見て、自分が流す涙は一体何のためなのか、いつも不思議に思う。

小さいころ、いつも優しくしてくれたおばあちゃんが亡くなった時、たまらないほどに悲しかった。

まだおばあちゃんが元気だったころ、少しボケが入って施設に入った。1年に1回か2回くらいだっただろうか。施設を訪れると、本当にうれしそうな顔をしていた。なにより幸せな顔で孫を迎えて、ひと時も放したくない、そんな顔をするのである。

そして、施設を出る時、孫との別れがさみしくて、静かに涙する祖母の背中が忘れられない。周りに沢山入居者たちはいる、ケアしてくれる人たちもいる、でも、親族が来てくれる温かさ、自分に繋がる色々なストーリーは、何にも代えがたい宝物なのだと思う。

優しくしてくれたおじいちゃんも、おばあちゃんも、母親も父親も、徐々に歳をとっていく。毎日が亡くなる日までのカウントダウンと言っていい。いつまでも健康でいてほしいと願う気持ちとは裏腹に、会うたびに、親の手の甲のシワは深くなっていく。

腰が曲がり、顔のシワが増え、頭が薄くなり、1年ごとに歳を重ねていく。

知らない間に、忘れっぽくなった父親に驚く。驚き、少しのさみしさと悲しさが入り交じり、ただただ、長く健康に生きてほしいと願うものである。

人はやがて死ぬ。80年程度の人生、あっという間に終わる。その人生を父親として生きてくれた感謝があふれ、母親がどれほどに子供のことを思いやっていたかに思いを馳せ、涙が止まらなくなる。

自分が子供のころには、想像も出来なかったような苦労をしていたと思うと、感謝の念が堪えない。家族でもっと一緒に過ごしたかった、そんな気持ちを胸に、お墓に手を合わせるのである。

人はこの世に生を受け、親や親族の愛情を受けて育つ。そして、子供を産んで、子供に愛情を注いで育てていく。そんなこんなの人生は、長くても90年で終わる。故に、祖父祖母と孫が過ごせる時間は長くて40年くらいだろうし、父母とは60年くらいしか一緒にいられない。

祖父母や親子がずっと健康で生きている保証などどこにもなく、明日死んでも何も不思議ではない。

こう考えてみれば、改めて人がこの世で過ごす時間というのは限られていると気づく。すると、ひと時も無駄にせず、勇敢に生きて、親族や子供にその生きざまを示していく事が大事ではないかと思う。

貴重な時間を必死に生きて、自分にしか出来ない道を歩み、その生きざまを家族にみせる。そして、その背中を子供に見せ、育てていく。親は自分が想像も出来ないような成長を遂げる子供を、少し不安に思いながらも、頼もしく幸せに思うだろう。そして、子供はその生きざまから多くを学ぶ事だろう。

人生が短いからこそ、志を胸に、日々を必死に生きていかねばならない。会社に雇われたら終身雇用で最高、なんて考えは腐っている。

志高く、改めてそう思った親族の死だった。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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