自分探しとは何か 〜ツァラトゥストラはかく語りき〜

昔、アフラックのCMで、今の自分が自分らしくて好きなどという発言をするCMがあった。

どういった文脈でこの様な言葉が使われたかは、しっかりと見ていなかったので分からないが、この自分探しという言葉は好かない言葉である。

順を追って考えてみると・・・

自分探し

☆自分がわからないから

①まず、自分とは何か

個人

indivisual

indivisualとは何か

各個人の持つ独特な道徳観、倫理、政治的、社会的立場、目標と要求、場の雰囲気に流されることのない、一個人としての一貫性のある深く統合された思想と責任ある行動

これは、どれも人類が積み上げてきた知の歴史と紐づく。

つまり、個人を成立させるのは歴史(ここで言う歴史とは、世界史、日本史といった成文化された通念としての歴史ではない)。

ここで☆に戻る

自分がわからない

つまり、個人を成立させる歴史が不安定であるということ。

数式でいうならば、α=f(x)*t x=知の歴史 t=個人の能力変数
 α=個人

↑これは適当。まぁ至極意味をつかみやすくするため。

つまり知の歴史が不安定である状態が、自分探しの状態

知の歴史とは何か

積み重ねられた知(哲学)、絶対的な歴史的知(宗教)、経験蓄積型知(伝統)などなど・・・

これらが不安定ということ。

これらをしっかりと教え込めば、違う可能性や新たな方向性への発展がないかも知れないが、個人は確立される。

そもそも、今の自分が自分らしくて好き、などという発言は、他人や既得権益、知識の束縛などから自由になろうという動きと推察されるが、その部分にすでに誤りがあるのだろう。

まず、自分自身のマインドの部分は①知の歴史と、②他人との関わりによって定義されるというのが前提だからである。

生まれた瞬間に、②すべての人とのつながりを絶ち、食事だけを与え、①何も継承された知の歴史を与えなければ、狼人間が誕生する。自分探しなんて考えようもないだろう。

今の日本は、蓄積された人間の知の歴史における、宗教や慣習の貸し剥がし状態であり、不安定な状況と言えよう。

自分らしさや、自分探しなどという言葉は、自由に生かされているから、そのような考えが生まれる。

自分らしさや、自分探しと言って、他人や、自分に関わる物事から、何も考える事なく逃れようとする姿勢に他ならない。自由で経済的に余裕のある時間を手に入れた現代の人間が、自由をどう生かしていいかわからず、生かされている状態になり、それが怖くて逃げようとしている訳である。

だが、そもそも①知の歴史と、②他人との関わり、により今の自分は成り立つ。つまり、この事によって、当人は自由になることを目指しながら、自由という目的に束縛され自由に生かされる状態になる。

自分らしさや、自分探しといった問題は、まず問題提起の時点で間違っていると俺は思う。

現代の、価値相対における宗教や、慣習といったものの貸し剥がし状態を乗り越えていく解決策とは、なんなのか。

ここで、哲学者のニーチェが、ツァトゥストラはかく語りき、にて説いたニヒリズムの考えを取り上げたい。

ニヒリズムにおいて私たちが取りうる態度は大きく分けて2つある。

一つは、すべてが無価値、偽り、仮象ということを前向きに考える生き方。

つまり、自ら積極的に「仮象」を生み出し、一瞬一瞬を一生懸命生きるという態度(強さのニヒリズム)。

もう一つは、何も信じられない事態に絶望し、疲れきったため、その時々の状況に身を任せ、流れるように生きるという態度(弱さのニヒリズム)。

ニーチェは前者を肯定し、永劫回帰の思想の下、自らを創造的に展開していく、鷹の勇気と蛇の知恵を備えた「超人」になることをすすめた。

って、何いってんの?という感じかもしれないが、本文読むと更に訳が分からず、非常に難解である。

読了した結果を踏まえ、私なりに解釈すると、永劫回帰とは今のこの瞬間を肯定するための方便だと思う。

ニーチェの生きた世界はキリスト教が当たり前の西欧であり、人は死んだら天国か地獄に行く。

彼はその世界観に異議を唱え、天国とか地獄とか、キリストとかそんなんじゃない、と言いたかったわけである。

そして、全ては無価値とかニヒリズムに陥って、色々否定するのは弱さであってダメ。

全て無価値、偽り、という大前提を自分の中に持って、神さまとかキリストとか人にばっかり頼るんじゃなくて、仮説立てて頭使って考える訓練して、創造的な生き方したらどうよ、と言っているわけである。

そして、え?なんで?いいことしたら天国で、悪いことしたら地獄じゃん、という当時の考え方に対して、いやいや、仮に人生が完全にループするとしたら、これまで過ごしてきたつまんない時間や嫌な思い出含めて全部受け入れられる?

辛いこととか受け入れるの難しいよね?でも、実はこの瞬間が果てしなくループするのが人生で、死んでもループするよ。だから、一瞬を大切にしようね。

と、平たく言えばこんな感じである。

あまりに本文が難しいので、解釈は何百通りとあるだろうが、私の解釈はこんな感じである。

今この瞬間を肯定する方便として、永劫回帰を作ったように感じるが、ニーチェのいう超人として、無価値、偽り、仮象を前向きにとらえることには大いに賛同したい。

サラリーマンとして生きようと、どのように生きようと、仮象を前向きに捉え、必死にこの瞬間を過ごすことこそ、混迷極める時代に必要な生き方だと思う。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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