コンプレックスだった爪噛みを直した話【原因と対策】
日本一醜い爪をもっていた男
私は小さいころから爪を噛む癖が酷くて治らなかった。大変なコンプレックスだったが、ありとあらゆる手を尽くしても治すことが出来なかった。
そんな私が、何とかこの癖を直すことが出来たときの事をここに認めたい。
このブログの読者の中には私と似たような境遇で育ってきた人や、そういった境遇で子供を育てる人達も多いと思うので、ここに記したことが、爪噛みのコンプレックスに悩む人たちを助けることになれば幸いである。
爪噛みの始まり
この癖は随分と昔から始まったので、いつ始まったのか記憶が定かではないが、4-5歳から既に噛み始めていたと思う。このころは爪の先っぽをちょろちょろかじる程度だったが、歳を重ねるにつれて、爪噛みの癖はどんどんひどくなっていった。
爪噛みの原因
爪噛みの癖がとてもひどくなったのは小学校に入ってからだった。当時、所謂受験戦争の中で、塾に通って大変長い時間勉強をしていた。あまり詳しくは覚えていないが、学校が終わる15時頃から1-2時間程度遊んだ後、塾に行って、21時ごろまで毎日勉強していた記憶がある。夕食も毎日弁当を食べたり、塾の周りで外食していた。
当時、スポーツや遊びに明け暮れながら勉強していたので、あまりストレスが強いと感じていなかったが、体は正直なので、そのストレスが爪噛みとなってやまなかった。
飛び出す肉球
小学5年生くらいになると、爪噛みはどんどんひどくなっていった。どれくらい酷かったかというと、10本の全ての爪がえぐれているくらいに酷かった。爪をあらゆる角度から噛みすぎて、爪が常にふやけてささくれ気味だった。
そして、ふやけてささくれた爪を歯で引っぺがして、噛みちぎっていた。噛みちぎると、当然爪の下の肉球があらわになる。血が滲み、水が滴るだけでも激痛が走る。通常、爪の白い部分に肉球が露出し、露出した肉球が赤く膨らむ。そんな指が10本のうち常に4本くらいあって、人が見るとぎょっとしてしまう状態だった。
そして膿んで痛む指
小学生と言えば泥まみれになって遊ぶものだが、指先が常にボロボロなので、傷ついた指にばい菌が付着して、指が常に膿んでいた。数日間痛くてたまらず、ピークに達した処で緑の膿がドバっと出る。安全ピンでさして膿を抜く、なんてことが日常化しつつあった。
一層悪化した爪噛み癖
中学高校に入ると、小学校に比べると勉強時間は減少した。一方、相当高名な学校に通っていた為、一層激しい偏差値競争によるプレッシャーは常に高かった。爪噛みの癖は治らないどころか、ひどくなっていった。
爪噛みを辞めたいのだが、勉強していると、全く気付かない間に指を口に入れているのである。兎に角何をしていても、はっと気づくと爪を噛んでいる。
両親も、何度も何度も注意して、何故爪を噛むのか、その癖を治せ、と責め立てていた。自分でもコンプレックスを抱えているところに追い打ちをかけられるような状態でやるせない気持ちでいっぱいだったが、直せと言われても直らない。
振り返ってみれば、このころのストレスの根源は、明らかに偏差値競争によるがり勉や親の監督下における自由の少ない生活にあったが、当時は社会にも出ておらず、世の中を相対的に見る視野もなかったので、別段苦労も感じず、何が原因なのかさっぱりわからず、苦しみぬいていた。
このころになると6本くらいは常に膿んでいたので、鉛筆を持つ手が痛くて溜まらなかった記憶がある。
ある日、人前でペットボトルを持つ機会があったのだが、爪を見せるのが恥ずかしくて、指先を丸めてボトルを持って飲んでいたら「なぜそんな赤ちゃんみたいな飲み方するの?」と真顔で聞かれて、随分恥ずかしい思いをした記憶がある。
また、常に人前に指を見せないようにしていたので、冬に手袋をするときは、本当に心が安らぐというか、心配しないでいられる、という気持ちになっていた。
そして遂に出会ったバイターストップ
高校2年生ごろ、激しい受験勉強の中で爪噛みは本当のピークを迎えていた。悩みながらインターネットを調べていたところバイターストップという商品を見つけた。マニキュアのようなもので、苦い物質を爪の先に塗るのである。
藁にもすがる思いで、貯めたお小遣いを使ってこっそり注文してみた。当時、親に知られるのもなぜか恥ずかしかったので、実家が薬局をやっている友人にお金を渡して入手してもらった。
バイターストップを使用した日々
肉球が露出しているところは、水が滴っても痛いので、染み入るような痛みがあった。なめると苦いので、爪を噛むと直ぐに噛んでいる事に気づく。元々苦いから噛ませなくする、という効果かと思っていたが、噛んでいる事に気づかせる、というのは私にとって非常に大きな効果があった。
気づくたびに口から指を離すのだが、意外と5分に一度は無意識に指を口に運んでいる事に気づかされた。
最初は気づくたびに指を離し、それでも噛んでしまう指もありながら、ずっと継続してみた。すると、1か月も立たないうちに、爪が1本綺麗に生えたのを確認できた。
もう10年以上、まともな爪を見る事はなかったので、これは本当にうれしかった。ほかの爪も徐々に肉球露出の状況を脱しつつあり、バイターストップによる艶も相まって、まだ人には見せられないものの、人間的な爪になっていった。
2本、3本と綺麗な爪が増えていき、半分が綺麗になったあたりで大学に合格した。
大学入学とバイターストップ
大学に入学するまでに全部治さないと、入学してからいきなりハブられる、なんて思いながら、指を口に持っていくたびに何度も「もうすぐ入学、もうすぐ入学」と自分に言い聞かせて止めた。
何より、バイターストップの苦みが爪を噛んでいる事に気づかせてくれるのは大きかった。バイターストップの苦みは安息香酸ナトリウムいう成分によるもので、世界で一番苦い物質としてギネスに登録されているだけに、兎に角苦い。
そして、なんとか略全部の指をまともな状態にして入学する事が出来た。
おわりに
10本まともな状態で大学に入学し、偏差値競争という不毛な戦いから解放された事で、爪を噛む癖は徐々に直っていった。入学後3か月ほどは塗っていたが、それ以降は一切塗らなくても爪を噛まなくなった。
爪噛み癖のコンプレックスを抱えて生き続けてきた私にとって、バイターストップは私の人生を変えたと言っていい。
仮に爪を噛む癖を持つ親がいるとしたら、その癖を責め立てるのではなく、ぜひ子供を爪噛みの苦しみから解放してやってほしい。一番つらいのは本人なのだから。
そして、社会人になるまでに、その癖が直るようにストレスを取り除いてあげたり、噛まなくする方法を一緒に考えてあげてほしい。
コンプレックスに悩みぬいたからこそ、そう思う次第である。
大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」
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