ヒトラーはベジタリアンではなかった?~ヒトラーのイメージ戦略~

2018年4月1日世界史の窓

歴史好きのF先生より寄稿頂いた文章を掲載します・・・

今回、書いてみたいのはヒトラーとベジタリアンについてです。恐怖の独裁者と呼ばれ、ユダヤ人に対して歴史上、類をみない非道を行ったヒトラーが、実はベジタリアンだったという説は知っていますか?でも、ベジタリアンの始まりは非暴力を旨とする考え方です。多くの宗教でもベジタリアンを推奨するのは争いにたいしても否定的です。・・・つまりヒトラーのイメージとは完璧に真逆です。こちらで書くのは私がヒトラーの一番、怖いところだと思う情報操作についてです。これって現代でも似たようなところがあると思うんです。だから当時の状況からまずは見ていきましょう。

ヒトラーはベジタリアンだった?

ヒトラーの以外な一面として、ベジタリアンだったという話があります。それによると、ヒトラーは菜食が個人的な健康問題を解消してくれ、魂の再生をもたらすものだと考えていたから、ヒトラーはしきりに生野菜や果物、穀物をとることのよさについて語っていたというものです。
その理由が地上で最強の動物である象が草食だからとか、肉食のライオンの持久力のなさをあげています。なるほど、確かに草食動物の方が持久力があるし、優れた身体を持っているかもしれないです。でも、全く逆の説もあるようです。

ヒトラーがベジタリアンというのは嘘!?

ヒトラーが「タバコを吸わず、酒も飲まず、ベジタリアンで、女とは交わらない禁欲主義」というのは、ナチスが政権をとるためにヒトラーのイメージ戦略として用いた誇大広告というものです。実際はタバコを吸わないだけで、酒が好きで愛人もおり、ソーセージが大好きで鳩の雛が大好物、甘いものもには目がなかったそうです。実際に、晩年は体調不良に悩まされていたそうです。もちろん、あまりの悪行に精神面がやられていたという見方もありますが、食生活が乱れていたと聞けばもっともです。
ベジタリアン説とは真逆の食生活と聞けば納得できますね。だってヒトラーも初めは普通の政治家だったのでイメージには特に気を使っていたはずですから。今の政治家たちと一緒です。すごく良いことを言ってた人が裏では、、、なんてよく聞きますね(笑)本当にベジタリアンだったら、もっと健康だったはずですから。

情報操作の力

「永遠の絶滅収容所」(チャールズ・パターソン著)より抜粋します。
彼の食事の好みがなんであったにせよ、ヒトラーはドイツにおけるベジタリアンの主張にはほとんど共感を示さなかった。彼が1933年に政権を握ったとき、ドイツにおけるすべてのベジタリアン組織を禁止し、その指導者を逮捕し、フランクフルトで出されていた主要なベジタリアン雑誌を発売禁止にした。戦時中ナチス・ドイツはベジタリアンの食事が戦時中の食糧不足を緩和するにもかかわらず占領地域におけるすべてのベジタリアン組織を禁止した。
では何故、ヒトラーがベジタリアンであったという説が流れたのか?ヒトラーの禁欲主義は彼がドイツに投げかけるイメージにおいて重要な役割を演じたからと言われます。彼の禁欲主義は国民に対する
•全面的な献身
•並外れた自己制御

ができる並の人間とは違うことを強調するためだったと言われます。このアピールは国民に受けて、ナチスは野党からドイツにおける与党にのし上がったのです。現代の選挙と同じですね。政策はそっちのけでクリーンさを全面に押し出したのです。

では本当のヒトラーの姿とは?

ヒトラーは力が正義であり、強者は地球をまるごと受け継ぐに値すると信じていたと言われます。こちらの方がしっくりきますね。そもそもベジタリアンとは非暴力哲学で、様々な宗教で実践されています。非暴力と言えば、インドのガンジーが有名ですが、ヒトラーは嘲り笑っていたといいます。
本質は徹底的な合理主義です。主な政策だけでも、

•社会福祉の充実
•高速道路の建設
•合成ゴムなどの研究費の増額
•出産・育児の奨励金

などと、現在のドイツを形作っているものがたくさんあります。こういった政策は国を強くした反面、権力の集中を実現し、気がつけば誰にも止められないほどの権力を手にしていました。それを可能にしていたのが情報操作です。都合の悪い情報は隠し、良い面は誇張する、もし、国民が与えられる情報を全て真に受けたなら、過去に類を見ないヒーローが現れたように感じたと思います。事実、第一次世界大戦に負けてから不況のドン底にあえいでいたドイツは、わずか数年でヨーロッパ一の強国にのしあがり第二次世界大戦でアメリカが参戦し、旗色が悪くなるまでかつてない好景気に湧きました。ですが、その後は皆さんが知るとおり敗戦国として長きにわたり償うこととなりました。

まとめ

ヒトラーがベジタリアンだったという説はイメージ戦略の一つだったと言うことです。そのイメージを植え付けることで国民の支持を勝ち取り、良い政策もあったのは確かですが、良い面だけを誇張する事で自分の地位を不動のものとしました。現在の日本はどうでしょうか?イメージで選んでいませんか?どんなに優れた指導者でも人間である以上、悪い面はあると思います。ですが、それを隠して良い面だけを誇張する人間は要注意かもしれません。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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