『想い』~三茶の焼肉、世界をめざす~
少し古いが牛角でおなじみのレックスHDを売上高3,900億円の一大外食チェーンに成長させた西山氏の手記を読んだので、その表を記す。
書籍名:『想い』~三茶の焼肉、世界をめざす~
著者名:レックス・ホールディングス 西山知義
2006年3月アメーバブックス発行、幻冬舎発売
★★★★☆
短い言葉でわかりやすくつづられており、最初から最後まで2時間程で一気に読み通す事が出来た。浮き沈みの激しい不動産業に携わる父親に育てられ、お金持ちになりたいという気持ちを原動力に走りぬいた西山氏は、本文にて難解な言葉を使っていない。寧ろ、使う必要もなく、本質的に事業を伸ばしていく為にはどうしたら良いのかを追求し続けていたのだと感じさせられる。
大学を中退し、不動産会社でサラリーマンとして働き始めた同氏の目的はただ一つ、「自ら起業する為のノウハウを得る」事。卒サラ後、小さな不動産会社を立ち上げ、様々な問題に直面しながらも、企業を大きくしていく。
この時も「企業を大きくしたい」という想いを持ってマックでアルバイトしたり、客先を駆け回ったりと、並みのサラリーマンとそもそも意識が違う。
本文を通じ、何より起業家としての動物的な嗅覚とセンスが伝わってきた。難しい単語を知っていたり、英語を話せたり、といったことは枝葉末節の話であり、本人の人間的な魅力や根性、圧倒的な努力と只管本質を考え、考えたらすぐにトライしてみる姿勢が、これほど急成長する企業を生み出し得た何よりの秘訣と思う。
毎朝、通勤電車に疲れた顔をして乗っているサラリーマンの多くは、西山氏がビジネスの基礎という「仮説・検証・改善」プロセスのうち、仮説すら立てず日々平々凡々と暮らしている事だろう。与えられた仕事に不満を言い、居酒屋で同僚の悪口を言いながら管を巻き、かといって変える努力もしないままにPCに向かい、報告書を作っている事だろう。
凡サラリーマンの例に言い換えるならば、会社で「この仕事は手間ばかりかかって面倒な仕事。なんのスキルも身につかないしやりたくない。」という仕事が有ったとして、その愚痴を肴に酒を飲んだところで、より良い明日になることは絶対にない。
その瞬間のガス抜きにしかすぎず、時間のムダである。それを薄々感じながら、誰しもそんな時間を過ごしてはいないだろうか?
仕事を通じ、仮説を立てるフェーズすら放棄しているサラリーマンも多い。何故ならその先にある目標が無いから。金持ちになる、女性にもてる、世界で活躍する・・・といった目標感無くば、仮説すら立てないまま無駄な酒を飲むだけなのである。だからこそ、この本はそんな糞サラリーマンに、気づきを与えてくれる。がむしゃらに走った起業家の足跡を見せる事で、糞サラリーマンの日々を変えてくれるかもしれない。
文中所々披露される夫人の大病と家族が涙を誘う、平易な言葉の裏側にあるドラマを想像しながら読めば、学びの多い一冊である。
大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」
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