【行列】残業を拒否する新入社員のストーリーに感じた違和感【法律相談】

2018年3月11日日本の論点, 就職活動

先ほど行列のできる法律相談所で、残業を拒否する社員を減給出来るのか、というテーマが取り上げられていた。

弁護士軍団の見解は減給出来ないが2人、出来るが1人となっていた。出来ない、と言っている二人も単に出来ないと言っているわけではなく、けん責、戒告、というステップを踏む必要がある、というコメントを述べるにとどめている。

つまり、ある意味3人とも相応の手続きを踏めば減給出来る、と言っていると言えるだろう。しかし、放送されていた上司と新入社員のやり取りを見ていると、新入社員は優秀で、与えられている仕事(各社員に課されるノルマのようなもの?)は時間通りにこなしてから帰っているように見える。

最後の映像で、新商品開発会議の時、就業時間になったので会議の最中にも関わらず、その社員が立ち上がって帰ってしまう中、上司が「チームの輪を乱すのもいい加減にしろ!」と叫び、周囲の人間も同調しているような雰囲気で映像は終わる。

この事例において、この新入社員は減給、若しくは相応の処罰を会社から受けるべきなのだろうか?

私の感覚からすると、この再現映像が語り掛けてくる、「残業すべし」という同調圧力や、「残業しない人=和を乱す人」、という設定にそもそも違和感を感じる。

先ず、前提として、会社は残業が発生しないように業務配分し、それでも人手が足りなければ人を雇うべきである。そして、仮に残業が発生してしまったとしたら、その時間に応じて、100%残業代を払うべきである。べきである、というかそれは労働基準法で定められている事であり、正しく払わないのは「違法行為」である。

映像を見るだけでは計り知れないが、会社がそういった前提(というか法律)を正しく守らず、不適切な業務配分の下、ダラダラと無意味且つ非効率に働かせているのを見て、この新入社員は残業するのを拒否しているのではないかと感じた。

実際、新入社員が帰ります、と宣言した新商品開発会議では、参加している社員全員が終業時刻を過ぎても、何事もなかったかのように打ち合わせを継続する映像が流れる。つまり、この映像から、この会社では残業する事が常態化していると推測される。

そんな環境における「チームの和」とは、みんなと同じようにサービス残業する事、と推測してしまう映像だった。

日本のあらゆる会社でも、このようなサービス残業は日常的に見られる光景であり、もはや日本人のDNAに刷り込まれている。だから、この映像を見た人は、あたかもKYな新入社員が挑発的に帰ってしまう、生意気な悪いやつ、という印象を受けてしまう。

実際、このテーマの冒頭、困った新入社員がいっぱいいるけど、こんな事例もあります・・・という形で紹介されるので、テレビ局はあくまで新入社員が間違った事をしている、という前提で映像を作ったのだと思われる。

こんな前提の映像を、社会の公器ともいえるテレビ局が作ってしまう事自体に私は憤りを覚える。テレビ局が啓もうすべきは、契約に定められた就業時間に基づいて働くのが当たり前、という考え方である。

あの新商品開発の場面で、管理職は「あと10分で終業時刻なので、今日の結論は××としたい。明日午後××時までに、各自××なアウトプットを持って再度打ち合わせたい」などというべきである。

間違っても、終業時刻に帰社しようとする社員を非難するのはおかしい。もしくは、「あと10分で終業時間になるが帰らねばならないものはいるか?そうか、山田君が帰るなら、河村課長は明日フィードバックしておくように」と告げるべきである。

更に言えば、ここにいる社員達は、そろそろ終業時刻だから帰ろう、と声を上げるべきであって、そういう雰囲気が当然のごとく醸成されているべきである。というか、終業時刻に変えるのは「当たり前のこと」であって「法律で定められた当然の権利」なのである。

会社員は会社と契約している個人であって奴隷ではない。

こんな、ダラダラ残業するのが当たり前みたいな風土を当たり前にしてしまっている管理職含めてバカかと思う。

行列が出来る法律相談所は視聴率の高い人気番組で、個人的にも結構好きだったので(テレビをほとんど見ない私にしては珍しく)時々見ていたが、このようにサービス残業しない人を非難するような映像をまき散らしていて失望した。

人口が減少し、高齢化が急速に進み、新興国が急激に成長する中で、日本は取り残されつつある。そんな中で、アジアにおける歴史ある先進国として、アジアから世界をリードする立場でい続けるには、労働生産性の改善が絶対に欠かせない。

今、安倍政権が働き方改革に取り組んでいる。誰もまともに手を付けてこなかったこの分野に、力を注いでいる。今変わらないと、日本がダメになってしまうからである。

そんな大切な時期に、日本の強力なメディアが作る番組がこの程度の認識で番組を作ってしまうのが残念でならなかった。テレビ局の社員は、高名な大学を出て、一定の見識があり、高い給料もらっている。ある意味、日本の権力の一角を握っているともいえる。

そんな責任ある立場にいるのに、こんなしょうもない番組を作るな!と言いたい。むしろ今度、この番組を引き合いに出して、この会社含むマスコミの知人達を一喝しようと思う次第である。

以上


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この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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