『嫌われる勇気』〜自己啓発の源流「アドラー」の教え 〜
心理学者アドラーの哲学を、哲学者と凡人の対話として分かりやすくまとめた本。取引先から進められて読んでみたがなかなか面白く、色々な人間関係の悩みとか、ふっと晴れるような気がする一冊だった。
書籍名:『嫌われる勇気』〜自己啓発の源流「アドラー」の教え 〜
著者名:岸見 一郎 (著)、古賀 史健 (著)
出版日:2013年12月
出版社:ダイヤモンド社
評価:★★★★☆
本書は対話形式で平易な言葉で書かれており、大変読みやすい。タイトルの嫌われる勇気とは、人に好かれるようと気を使い、努力する事そのものが、本質的に人間の悩みを生み出す原因であると説く。
これは仏教を中心とした東洋の宗教に通ずるところがある。例えば仏教を実践した人間の求める最終形は、解脱や悟りといった境地に至る事である。この過程で、殆どの場合、人間関係から解き放たれ別次元に居る存在となる。人から認められたい、褒められたい、といった気持ちは微塵もない状態である。
「無の境地、煩悩を取り除く、無心」、こういった言葉は正に人間関係という俗世と密にかかわるものから解き放たれるという事である。勿論、仏教にも信者でない人たちを仏教の入口をたたかせる「エサ」として、不殺生、不姦淫の他、嘘をつかない等、日々の人間関係を円滑にするTipsが散りばめられている。
この「エサ」はあらゆる宗教に共通している。それはなぜならば、目先の悩みを解消し、よりマイルドな日々を送る為の処世術を提供可能である事をアピールする事が、会員獲得に欠かせないからである。ただ、会員の中にその教えを突き詰めていく人達はおり、その尽きない悩みへの答えの一つが、無の境地etc…であり、更にその無の境地の枝葉の部分の一つがこの、「人に嫌われる勇気」なのである。
背が高い低いという身体的コンプレックスは、人と比較する事に起因する。自分が頑張っている事をほめて欲しい気持ちも、人が居てこそ充足される。無人島に生まれ、無人島で生きていく人が、背の高い低いを気にする事は無いだろう。褒めて欲しいとも思いえないだろう。不細工でも、痩せぎすでも、全然どうでもいい話で、生きていければそれでよく、生きやすい日々を送るにはどんなスキルや能力が必要か、だけなのである。
(長くなったが、)原始時代から今まで、人々は人との関わりの中で生きているからこそ悩みは尽きない。そんな、人間関係にメスを入れようとしているのが本書である。少なくとも本書を手に取る人が、100%アドラーの教えに従って「人に嫌われる」のは不可能だと思う。そんなことをすれば、日々の生活は苦痛に満ちたものになるだろう。
ただ、この教えの原理原則を理解し、要所要所で部分的に取り入れている事は可能なはずで、この教えを実践しようとする心の強さが、あなたの生活を少し、幸せにするはずだ。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」
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