英国一家日本を食べる

ANAに乗るといつも楽しみにしている番組がある。

それが英国一家日本を食べつくす、である。

マイケルブースなる英国人夫妻と息子二人が、日本で珍道中しながら、日本の食文化を学んでいく番組である。

例えば、最新の番組だとこんぶがテーマになっていた。

番組の中で、子供が「このマントの切れ端みたいなの何?」と呟くシーンがある。

確かに殆どの外国人にしてみたら、コンブは奇怪な食べ物だろう。

日本人にとってみたら、当たり前のように根付いた食だが、外国人、特に海藻をほとんど食べない西欧人にとっては興味深いものである。

そういう感覚に改めて気付かされるので番組が面白い。

しかもこの番組は、子供2人がとても可愛く、絵柄もポップでみやすい感じで、なんとも愛着のわく仕立てになっている。

ちなみに、この番組を見たことがある西欧人の友人に彼らの海藻に対する感覚を聞いてみたところ、

海にいくと、足に絡みついてくる気持ち悪いやつ

という感想だった。

また、この番組の感想を聞いてみたところ、あんな感じで日本を旅してみたい、ということだった。

あんな感じ、とはつまり、体験型である。

日本では旅行というと、ひたすら観光名所を回って、写真を撮って、いっぱいお土産を買い込むというイメージがある。

実際、旅行会社にいくと、そういうタイプのパッケージツアーしかなくてうんざりする。

一方、西欧人はその土地の文化を学べる企画、体験などをとても好む。

例えば、ツアーガイドの説明付き富士山登頂などがまさにそれである。

日本人が富士山をどのような視点で見ていて、富士山と聞くと何を思い浮かべるのか、などを学んだ上で、実際に体を動かして山に登る。

山の雄大さを山登りで実感し、ご来光を見てその素晴らしい光景を目に焼き付ける。しかも、登った先にしか見ることができないプライスレスな経験。

これこそが、西欧人の多くの旅の楽しみ方であって、ロンリープラネットのような旅行本を読むと、結構こういう体験ができるところを紹介しているページが多い。

なので、例えば西欧人向けパッケージツアーとして、日本の不思議な食文化を体験し、しかもその食文化の裏側にある考え方や、産地訪問まで出来るプランを組めばヒットするだろう。

逆に、日本の旅行会社も、お決まりのパッケージツアーばかり売りまくるのではなく、こういう文化体験型のツアーを世に広めて欲しい。

旅行を通じて、相手の国を知ることは、相手の受容に繋がるし、自国文化が一層深みを持つことにも繋がる。

旅行会社には「文化を発信する会社」くらいのテーマを掲げて欲しいと、いつも思うものである。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

■関連記事

長い期間出張をしているとだんだん髪の毛が伸びてくる。海外と言えば中国で洗頭と呼ばれるマッサージにはよく行くが髪を切ってもらった事はない。 (洗頭とは、椅子に座って体勢を起こしたままの状態で頭を洗うサー...   続きを読む »

「髪の毛が後退しているのではない、私が前進しているのである」 この名言の人物こそ、ソフトバンクグループ創業者の孫正義である。一代でこれだけ巨大な会社を築くには、並大抵の努力や発想がなければなし得ないこ...   続きを読む »

バンコクにて 9月13日、バンコク。9時40分くらいに起きる。窓のない部屋に朝はやってこないと思っていたが、壁の薄さはバンコクの喧騒を目覚まし代わりにしてくれる。カンボジアに行くために、VISA発給申...   続きを読む »

とある夏の日、インドのゴールデントライアングル+1、つまり、デリー、バラナシ、アグラ、ジャイプールを訪問した。 世界40か国以上を旅してきたが、人生観を変える程の体験をさせられた事も有り、旅の記憶をこ...   続きを読む »

心理学者アドラーの哲学を、哲学者と凡人の対話として分かりやすくまとめた本。取引先から進められて読んでみたがなかなか面白く、色々な人間関係の悩みとか、ふっと晴れるような気がする一冊だった。 書籍名:『嫌...   続きを読む »

ページトップへ