イギリスの床屋に行った時のはなし
長い期間出張をしているとだんだん髪の毛が伸びてくる。海外と言えば中国で洗頭と呼ばれるマッサージにはよく行くが髪を切ってもらった事はない。
(洗頭とは、椅子に座って体勢を起こしたままの状態で頭を洗うサービスのこと。少し濡らして、シャンプーをつけて、ひたすら泡立てながらもみこむのだが、これが絶妙に気持ちよくて癖になる。1回15元≒250円くらいなので、マッサージに行くより断然安く、時間も30分程度ですっきりするので、出張者にはお勧めのサービスである)。
とある出張をしていた時、ヨーロッパ域内を飛び回っていたが、イギリスでもしばらく滞在する事となった。あと1週間はヨーロッパ滞在だが、どうにも髪の毛が長くなったようで、不快でしょうがないので、髪を切りに行くことにした。
リーズという田舎町にいたので、大した美容院もなく、時間も限られていたので、とりあえずその辺の床屋に向かった。
店内にいたのは歌手グループ、ペンタトニックス風の若いお兄さん。
とりあえず2か月分くらい切ってくれ、といったところ、OKOK no problem、と言いながら首にポンチョを巻き始めた。
店内はそんなにきれいじゃないけど、まあそんなにたくさん切らないし大丈夫だろ。と思いつつ、忙しいらしくしばらく始まらなかったので、目をつぶっていた。5分くらい放置されたが、忙しいらしく、他の客をカットしていた。というかほぼ坊主に近い人とか、流行りの横全そりからの七三みたいな感じだった。
と、その時。
こんなのを持って近づいてきた。
隣に坊主のほういくのかと思ったら・・・
待たせてごめん、今から始めるね。
いや・・・それいきなり何?刈り上げとかしないけど?と聞くと、これフツーだから大丈夫、大丈夫、という感じで、ごくいつもの事のようにふるまっていた。隣に座っている七三のお兄さんは意外とうまく切れてたので、まあ任せてみるかと思い、初めてもらった。
うぃーん
ばっ
ばっ
ばりばりばりばりばりばりばばばばっばばばばっば
オッお前、ちょっと待て!
あまりに大きな音に驚いて、頭を無理やり離して止めるまでにかかった時間は5秒。
ヘーイ、ノーウォーリーズ(心配ないよ)
といっているが、私の右側頭部の髪の毛は一気に半分になっていた。
一瞬で2か月分くらいカットするスタイルに恐怖を感じて離れたが、まあこんなもの、と言えるくらいの量カットされていた。
恐ろしいがこれがイギリススタイルと観念して、OK Go ahead、といった。
すると頭をくまなくバリカンで切り、1分程で散切り頭になった。
そして、はさみで切り始めたが、スキばさみではなく、普通の直線に切るハサミでちょきちょき。。。
OK
と言われたとき、そこには30代のわかめちゃんが誕生していた。
前髪はほぼ一直線に近いカーブを描いており、横と後ろは、散切り頭となっていた。
日本であれば、頭頂部は立て気味に、とか言えるのだが、いかんせんそういうオーダーに対応できる雰囲気はない。
後日、海外の日本人プロ理容師に聞いてみたところ、
・ヨーロッパ人は髪が柔らかい人が多い
・しかもカールしているので、ほっといてもフワッとするからスキばさみとかあまり使わない
・色も軽めの茶色とかなので、黒の思い仕上がりをイメージしづらい
・頭の形が卵型の人が多く、ハチが広い日本人の頭の仕上がりを想像できない
・効率重視の店も多いのでシャンプーしなかったりバリカン使って刈る事も少なくない
などなど、なるほどと思わされる理由があり勉強になった。
そして翌日、取引先に爆笑されたのは言うまでもない。。。
以上

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」
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