精神的に向上心のないものはばかだ 〜夏目漱石の言葉の意味とは〜

先日、友人たちと会って焼肉を食いながら話ししていた。

なかなか時間がとれず話せたのは短い時間だけだったが、面白かった。お互いが思うところを語り、話は発展していった。

インターネットの話や、経済、思想、哲学の話となっていった。とりあえず一人ひとりになんか面白い話をしろやみたいな流れの中で、東大文学部の男(以下、東大くん)が世界にあふれる情報について話始めた。

曰く、この世の中に情報はあふれている。以前の何倍もあふれていると。

一昔前ならば、情報があったとして、その情報にフィルターをかけるのが宗教であったり、共同体の規範であったりだったが、今は違う。

東大くんは宗教や哲学などの話をからめながら喋っていたが、もう一人いたアプリ開発会社勤務の友人(以下、ごりら)はどうも興味がなさそうな感じであった。

そして、本の話になり、ごりらは言った。実用書は読むが、哲学、思想には興味がないし、そういう話にも興味はない、と。

これに対し東大くんは、壁の話を持ち出してきた。人は自分の興味のない分野に対して、壁をつくる。もしくは、壁を作るという段階にも達していないと。。。

これはちょっと興味深かった。これまで俺は、壁の高さ低さはあるにしても、何事に対しても壁は存在すると捉えていた。

まぁ壁がでかすぎて、壁だと認識できないと捉えれば、同じ考えとも言えるから、考えかたが大きく違うとはいえないが。。。

この考えを喋ったあとで、東大くんは、まぁ養老孟司の馬鹿の壁からの引用なんだが、と言った。

というわけで購入して読んでみた。

感想としては特に新しいことを言っているわけでもないし、売れまくった理由が内容には見出せないが、興味深い内容であるとは思った。

全体的な内容を、正しいとも正しくないともいわん。ただ、経済に関する記述は、ちょっと謎が残った。まぁ書くと長くなるので、内容についてはふれないことにする。

情報はこの世に無数にある。その情報を知識として吸収し、外に出す。

まったく新しい発想や思想を考え出せる人間なんてまずほとんどいないから、基本的にその知識を絡め合わせたものを、頭で処理して外に出す。

取り込んだ知識を、処理して自分の土台とする。新しい知識や考え方が入ってきたとき、これまで醸成してきたものを元に、その人なりの形で取り込んでいく。

小さなこどもは、知らない世界にふれ、知識を吸収していく。そして、得た知識のなかから自分を形成していく。

つまり自分なりの考えを作っていく。大人とこどもは考え方が違う。価値観が違う。こどもにしか出来ない考えや、価値観がある。この価値観とはつまり土台のことである。

その土台から、こどもの意見出てくる。往々にしてその意見は浅薄なものであることが多い。

それはなぜか。知識(実際の体験から本から得るものまで様々)の量と、考えるという経験が足りないからである。

これは大人でも同じ。体が大きくなり、年をとる事で見かけは大人になることは出来るが、中身はしっかりと土壌を富ませ、水を欠かさずにやらないと大きくはならない。

対人関係で、単に考えが違うと言えば非常にわかりやすい逃げ道になる。ただ、そこになんの成長もない。

今回、タイトルには、夏目漱石のこころにある言葉を引用した。言論の場において馬鹿という言葉を使うのは反則だと常日頃思っているが、夏目漱石の使い方はインパクトある、非常にうまい使い方になっている。

「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」

養老氏も書いているが、重荷を背負い、崖をのぼっていくことが人生だと言っている。

まさにその通りだと思う。何も考えず、馬鹿でいることほど楽なことはない。ただ、上って行った時に広がる景色は、何物にも変えがたいものだと思う。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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