キャビンアテンダントになりたい人達へ

2018年1月20日処世術, 就職活動

日本では、やたら価値が高い存在として扱われているキャビンアテンダント、女性が多かった時代のいわゆるスチュワーデスだが、憧れる前に冷静になった方がいいだろう。

その昔も昔、1960年代、憧れのハワイ、とか言ってた時代は海外に行く機会がなかなかない上、フライトのチケットも馬鹿高かったので、海外に行ける仕事は憧れだった。

例えば、パイロット、商社などの職業がそれに当たるだろう。

ずっと昔はヨーロッパに行くことを洋行、なんて言ってた時代もあるくらいで、洋行そのものがステータスだった。

今でも各家庭に名残があるが、高級なウイスキーを飾る、なんてのはまさにこの時代の名残である。

金持ちの爺さんの家などにいくと、応接室にズラリと洋酒が並んでいて、それを褒めると、これはどこに行った時に・・・という感じで話が盛り上がったものである。

Amazonでワンクリックすれば1週間も経たずに海外の酒が手に入る時代からは信じられないわけだが。。。

話を戻すと、海外に行くことがレアな時代の感覚の遺物が、パイロット・商社・キャビンアテンダントといった業種への憧れとして今も残っている。

だが、キャビンアテンダントの業務は、まさに空飛ぶ配膳係である。しかも、いろんな意味で大変である。

まず業務が不規則であり、飛行機の都合にあわせて出勤時間や休みが変動する。

例えば朝4時に起きて羽田空港に向かい、伊丹を3往復して帰宅といった日もある。

そして、業務もエコノミーに詰め込まれてストレス度合いが高めのおじさん、おばさんが、酒が欲しい、飯まだか・・・などと激しくリクエストしてくるのである。

さらに、機内は乾燥しており肌にも悪い上、海外フライトの場合時差などによって、体力的にもキツイ仕事である。

極め付けは、同じ班となった人達の中にマウンティング系の女子がいる可能性があることである。

これは私が実際に体験したことだが、海外に出張した時に、海外の先輩のリクエストでキャビンアテンダントのパーティーに参加したことがある。

タダでさえ出張で時間がない時に、盛り上げ役こなしつつ精算したりとか、面倒くさい会合には出たくない・・・と思いつつもやむなく、とあるホテルのラウンジに行った。

そこで見たのは、ボス的存在の先輩とそれを取り巻く2ー3人が後輩達に言うことをきかせながら、パーティー開いているという光景だった。

話を聞いてみたところ、私が到着する5時間くらい前から集まってお昼食べながら話をしていたのだという。

皆笑顔で話をしていたが、会話のボールが自分から離れた時に、時たま見せる疲れた顔を私は見逃さなかった。

そして、会話の中で時折繰り返される「私たちって本当に仲良いよね」という言葉が空疎に響いていたのが忘れられない。

話を聞いてみると、海外フライトの場合には同じホテルにクルーが纏めて泊まる為、キャビンアテンダントの班次第ではこのような集いがあったりする模様だった。

あと、職制上、機内ではパイロットの機長が頂点におり、その下にキャビンアテンダントが付くという形になっている。

パイロットは色々な手当てが出る為、40歳で年収2000万円もザラである上、職制上のトップということもあり、かっこよく見えやすいものである。

しかもクルーで同じホテルに泊まったりするため、間違いが起きやすかったりして、非常に行儀の悪いパイロットがいたりする。

更に、キャビンアテンダントも仕事が不規則な為、以外と出会いが少ない上、上述の通り業務内外でのストレスが強い為、行儀の悪いパイロットと間違えることが少なくない。

ここまで書くと酷い仕事のようだが、悪いことに待遇も大したことがない。これだけ大変なのに年収は30歳で500万円くらいである。

しかも、機内アナウンスを聞いたり、顧客との会話を聞いていればすぐわかるが、英語力など全く仕事として使えるレベルになっていないのが実態である。

その上、最近は随分減ったようだが、歳を取ると有形無形のプレッシャーがかかり、いたたまれなくなるらしい。

スキルもつかず、給料も安く、ストレスが強い業種、ということがおわかり頂けただろう。

ファーストクラスの金持ちと出会う、というケースはゼロではないので、仕事を通じて金持ちと結婚して一発逆転、もあるだろう。

しかし、それ狙いならもっと別の仕事あるのではと思ってしまう。

いやいや、空が好きなの!という気持ちも分からなくはないが、それなら週末に旅行すればよく、わざわざサーブする側に回る必要はない。

キリッと髪を束ねて働く日本のキャビンアテンダントはカッコいいし、世界一のサービスクオリティだと客としては思う。

ただ、上述の通り、仕事とするにはデメリットが大きいというのが、数多のパイロットやキャビンアテンダントと会話する中で得られた結論である。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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