『はじめの一歩を踏み出そう』〜会社に疑問があるあなたへ〜
サブタイトルと背表紙に惹かれて思わず飛びついた本。世界20カ国で翻訳され全米ベストセラーとも書いてあり、よほど面白い本かと期待していたが、期待が高すぎた分評価が下がった。
書籍名:『はじめの一歩を踏み出そう』〜会社に疑問があるあなたへ〜
著者名:マイケルEガーバー著 原田喜浩訳
出版日:2009年6月初版
出版社:世界文化社発行
評価:★★★☆☆
サブタイトルと背表紙に惹かれて思わず飛びついた本。世界20カ国で翻訳され全米ベストセラーとも書いてあり、よほど面白い本かと期待していたが、期待が高すぎた分評価が下がった。
内容は、起業したい人達がどうすれば成功できるかのポイントを列記し分析を加えたもの。興味深かった内容は2点有り、1つはフランチャイズ制についてである。急速に事業を拡大したいと思った時、一人の力では事業を広げていくのに時間がかかるが、事業の試作モデルを作り、それに成功すればパッケージ化して拡大すると良い、というもの。
これには、自分が居なくても企業が回る様々な仕組み・仕掛けが必要であり、並大抵のことではないが、一度拡大し始めるとその拡大の効率の良さは想像に難くない。別途書評を書いた、レックスHD(牛角等の飲食チェーン)も正にこのやり方でわずか8年足らずで1,200店舗を超す出店を果たした。
2つ目は事業における、幼年期(職人)、青年期、(成長の壁があって)成熟期の分類である。幼年期は職人の時代、とは即ちパン職人が念願かなって自分の大好きなパンを毎日焼いて過ごせるパン屋さんを立ち上げた段階である。毎日ウキウキしながらパンを焼き、忙しさも楽しさとばかりに働きまくる。しばらくして売れ行きが良くなると、パン焼きに原料仕入れ、店舗管理に帳簿付けと、幾ら働いても回らない程に忙しくなり、楽しかったはずのパン屋は苦しい場所へと変化する。
人手が足りなくなり、いよいよ人を雇う所からが青年期である。ここで人を雇ってマネジメントを経験する。職人として自己完結的に始めた仕事にマネジメントが加わる。ここが運命の分かれ道で、経営者の管理能力を超える人員や製造量になってくると、事業は自然と幼年期に戻る動きをする。若しくは倒産への道を歩む。
更にもう一つの道として、ひたすら限界を超えて青年期を走り続ける。幼年期退行と倒産は分かりやすい。限界を超えた場合、については悲惨な結末が待っている。言わばドラマによく出てきそうな、金の無い町工場のオヤジ状態である。どういうことかというと、会社は家族が生活の糧を得る為にもやめられず、やめられない仕事は「商品や工場への愛着、先祖代々の土地を守る」と言った言葉へと変換されて、体を壊してまで働き続けるという状況である。
話がそれたが、筆者は大半のスモールビジネスが幼年期または青年期の間をウロウロして終わると説いている。そんな中、どんな企業が成熟期を迎えるかというと、会社としてビジョン、目的を持ち、それを達するための計画が立てられている企業こそ成熟期を迎えられる。職人的に自らが仕事を楽しむという段階から、事業そのものが商品であり顧客を設定してその満足の向上の為に活動するという事を出来る企業が成熟期を迎えるのである。
本書は、起業とはどういう段階を経ていくか等の概念の説明に多くの項を割いているが、やってみなければ何も起こらない、というのが結論となっている。文中で紹介されている、イノベーション→数値化→マニュアル化、という事業拡大のプロセスも、先ず行動を起こしてみなければ起こりえないと説く。
又、起業家・マネージャー・職人、という一人の人間の中にある気質を、事業運営では様々な形で呼び覚ます必要があるが、何より事業が立ち上がらねば何も起こらないと説く。
この本の結論は、スモールビジネスに留まる企業が大半だがそれが何故で、その先の姿(成熟企業)とはどのようなものか、という点。そして、先ず行動せねば何も起こらないので「はじめの一歩を踏み出そう」という2点である。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」
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