プレイステーションが生んだ巨作 ファイナルファンタジー7
前回は家庭用ゲーム機が普及し、プレイステーションが発売されるまでの間に百花繚乱、綺羅星のごとく名作が生まれた歴史を書いた。
プレイステーションが発売されて以来、CDロムという大容量媒体を活用する事で、従来にはない美麗なグラフィック、長編の物語を表現する事が可能となっていった。それまで、ドラクエなどのRPGだと、街のキャラクターが同じ反応を繰り返す、どのような選択肢をとってもストーリーは1種類といった具合だったが、この作品から随分と広がりが出てきた。
冒頭からまるで映画を見ているかのようなグラフィックが展開されて本当に驚いたものだった。しかも、キャラクターが3Dな上に、自由に動き回れる世界も3D。これまでマップに出ると上下左右にカクカク動くだけだったのに、なんと飛行機に乗ってワールドマップを飛び回れる自由さは言葉では表しきれない。
小さいころは家庭内でゲームを禁止されていたが、中学生になってようやく解禁になると、ファイナルファンタジー7をさっそく購入して5回くらいやったものだった。
それまでロールプレイングゲームは大して面白くないと思っていた。そもそも家にゲーム機がないので、ロールプレイングを継続的にプレイするのが困難という事情もあって手を出す事が無いのが実情だった。
ファイナルファンタジー7に手を出して、その考えが変わった。何より作りこまれた世界観が魅力的であり、その世界観に合わせて準備されたBGMが実に美麗で何度聞いても飽きる事が無い。
ストーリーは、神羅カンパニーという超大企業VS主人公のクラウド、という構図で始まる。このゲームが奥深いのは、その構図だけに留まらず、複雑なストーリーラインが交錯する所にある。
神羅カンパニーは魔晄という石油のような資源を吸い出しながら世界上の産業を支配しているっぽい会社であり、強烈な貧富の差も生み出す元凶的な扱いを受けている。つまり、神羅カンパニーVS貧乏人、という構図もある。
そして、宇宙を渡り歩いて定住地した古代種(=セトラ)VS星に衝突し、そのエネルギーを食らいつくことを繰り返す宇宙生物ジェノバ。ゲーム中、モンスターがそこら中に出てくるが、こいつらは、かつてジェノバが飛来し、セトラ達にウイルスを撒いてモンスター化させたという設定。つまり、普段のプレー中はクラウドVSモンスター。
更に、ジェノバは地中に埋められたが、神羅がセトラ(古代種)と思って掘り返して北条博士が研究を進め、ジェノバの細胞を埋め込んで魔晄を浴びせた者たちをソルジャーとして戦いに活用する。。。
ジェノバ細胞を埋め込まれたセフィロスは、実験動物のように扱った神羅や星を憎む。ここでセフィロスVS星を守るクラウド達の構図。更に、ジェノバに対抗するために星が生み出したのが「ウエポン」で、それとクラウドが戦うというVS構図。
という訳で、大きく見れば星を守ろう、環境を守ろう、自然を愛そう、的なストーリーがバックグラウンドで展開されるのだが、その中に重層的なストーリーやキャラクター夫々の想いや心情が交錯する。
正義と悪という構図でもなく、時としてそれらが入れ代わったり見方が変わったりもしながら、最後は星が守られるというシンプルなストーリーにまとまる。実に味わい深く奥深く面白い。
特に私が何より好きなのは、コスモキャニオンの重厚な民族音楽と、そこで展開されるレッド13のストーリーである。戦える犬という独特なキャラクターが、人間の哲学者のような趣の発言をするものの、故郷のコスモキャニオンに到着すると実は幼い性格だったことが明らかになる。更に、村の中の洞窟に入っていくと、戦争になって逃げたと思われていた父親のセトがギ族の攻撃から村を守り抜いた人物であったことを知ることになるというストーリーも実に感動的だ。しかも、哲人のプーゲンハーゲンは永遠に思える星すらも流転する存在である事を語り、命の儚さを伝えてくる。
兎に角、ストーリーの重厚さが素晴らしい。しかも、ちょろちょろ出てくる可愛げのあるストーリー、まじめに1本のゲームとして売れるであろうミニゲームなど、魅力が満載過ぎる。
現代において、これほどに作りこまれた名作は中々ない。幾らグラフィックが綺麗になろうとも、その根底にある考えや、思いの熱さなどがなければ、本質的に面白いものは出来ない。
ファイナルファンタジー7は、そんなことを改めて感じさせてくれる名作なのである。
久しぶりにプレイしたくなってきた・・・6回目。。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」
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