仮想通貨バブルが弾ける時

2018年1月20日資産運用

2017年12月24日現在、ビットコインは163万円程度で取引されている。

ビットコインに代表される仮想通貨はマイニングなる電力を消費して通貨を発掘する、という行為以外に価値を裏付けるものがない。

よって、ファンダメンタル価格(様々な経済的価値の前提を基にした想定価格)が存在せず、通貨の価格は純粋な投資家の思惑のみで決定される。

つまり、上がりそうと根拠なく想う人が多いほど価値があがり、逆の場合は下がる。

投資用の商品としても売買されている、小麦や石油・石炭といった各種コモデティは、実物に対する需給次第で価格が決定される。思惑による増減はあっても、最後は需給が価格の原点となる。

金はコモデティとは異なるが、宝飾用などで世界中にこの資産を求める人がいる為、コモデティのように実需が存在する。

また、株や債券も、キャッシュを生み出し続けられるかどうか、キャッシュ創出力がどれくらいか、という前提を踏まえて需給のベースが構築される。

金、コモディティといった実物資産、株・債権=企業等の事業活動、これらの実需の積み重ねの上に国が発行する貨幣がある。貨幣とは、国の信用創造の結晶とも言えるが、実需があるからこそ成り立つものといえよう。

そして、軍隊や警察といった暴力装置を持つことによって、この信用を担保していると言えよう。

それでは、仮想通貨はどうだろうか。仮想通貨はコモデティのような実需がない。よって、価格が上がるか、下がるか、ただそれだけで価格が決定される。

つまり、価格が下がると皆が思えば、実需がない為、果てしなく価値が落ちていくのである。

仮に価格が暴落した場合、投資家は保護されない。例えば100円で1ドルを買った人は、価値が下がったとしても、価値がゼロになることはない。何故なら、ドルは米国の信用創造の結晶だからである。

だが、仮想通貨は貨幣のように国に保証されていない為、価値がゼロになりうる。

ここまで語った所で、仮想通貨が危険だからやめた方が良い、という結論は出さない。仮想通貨の増減、というバクチにかけたい人はかければ良い。

問題は、テレビCMで ビットフライヤーなどの取引所が、投資を盛んに煽り立て、サラリーマンまでが投資に乗り出しつつある中で、投資家保護の仕組みができていないことである。

ここで、歴史の話をしよう。

18世紀のイギリス、戦争などでイギリスの財政は苦しかった。そんな中、アメリカに進出していた南海会社という会社があり、この会社が発行した株式が高騰した。

当時、アメリカ開拓の機運が高まっており、人々は西方開拓に夢を抱いていたこともあり、南海株式会社の株価はどんどん上がっていった。

南海会社がどのような活動をしているかは関係なく、なんとなしの未来への期待感だけで、買いが買いを呼んだ。そして、ある日実態にそぐわない会社の株価は大暴落を始めて株は紙くずとなった。

興味深いのは、当時金持ちだった資本家たちの多くは、大暴落の前に売り抜けて利益を確保していたことである。

まさに、この歴史の事件は、いつの時代も繰り返す話であり、大いなる教訓を含んでいる。

つまり、実体経済を前提としていない仮想通貨のバブルは必ず弾ける。弾ける前に、利に聡い資本家達はうりぬける。そして、盲目的に投資して来た個人たちが損をかぶることになる。

ここまで書くと仮想通貨に夢も希望もないようだが、仮想通貨は大変な可能性を秘めている通貨とも言える。

まず歴史上類を見ないことに、発行主体が国や組織ではなく、一定のルールに基づいていることである。

そして、仮想通貨は取引が容易で世界の隅々まで個別の通貨の制約を受けずに取引できることである。

この2つの特性があるゆえ、仮想通貨は発展していくだろう。

私の読みでは、仮想通貨は実物経済を伴わないため、人々の熱狂が終わったタイミングで大暴落する。

そして、大暴落からしばらくは低迷する。

低迷の中で、仮想通貨はさまざまな用途を見出していく。その過程で実体経済との結びつきが強まって行き、信用創造のプロセスがスタートする。

さらに、仮想通貨の価値を測る尺度が生まれてくる。これにより、国が発行する通貨との交換比率等が明らかになっていく。

国が貨幣の鋳造権を手放し、仮想通貨を国貨とする国が生まれる。そしてさらに仮想通貨が広がる。

これが、仮想通貨がたどる未来であろう。

今は仮想通貨を国が保護しておらず、何の後ろ盾もない為、極めて不安定な資産と言える。

私は日本に仮想通貨の投資家を保護する政策を提言したい。

仮想通貨が実態通貨や資産と結びつくならば、それは実態に裏打ちされた資産となる。

そうすれば、仮想通貨が実体経済で使われる道がいっきに広がる。それによって、取引のスピードやコストが極限まで下がり、経済の回転率が加速していく。

高い回転率を誇る経済は、さながら投資効率の高い株と同じで、潤沢な資産を生み出す。資産を生み出す場所には投資が集まる。

投資が集まれば、それを再投資することで、組織は一層豊かになる。

つまり、日本全体が仮想通貨のメッカとなれば、投資が世界中から集まり、資本の再投資が加速し、それがさらに資産を呼び込むことになる。

仮想通貨に熱中する国民がたくさんいる今だからこそ、暴落による冷や水をかけられる前に、積極的な国威発揚の政策が実施されんと願う。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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