出張や帰省帰りに職場にお土産を買う必要がない理由

2018年10月27日日本の論点, 処世術

Smart Newsのコラムに以下のようなストーリーが掲載されていた。
要は職場にお土産を買って帰る必要はないと思う、とコメントしたOLが叩かているというものである。

関連リンク:職場の土産強制に疑問を持ったOLに反発の声「自分は人から貰って食べるのに」「ただの甘え」

人からもらうなら、人にあげて当然なのか

私は常々、職場にお土産を買う風習というのは必要のない文化だと思っている。なぜなら、お土産を何の為に買って帰るのかが不明瞭だからである。

そして何より、お土産を買ってかえることを人に強制したり同調を求めたりするのは、くそ人間の所業であり、忌むべき・恥ずべき心のありようだと思ってきた。

お土産、というのはあくまで相手の事を思い、コミュニケーションの手段として「本人の意思で自由に」使われるべきものであって、虚礼的に贈った贈らない、というものであってはならない。そんなものになってしまえば、出張や帰省が心の負担になってくる人もいるだろう。

買ってくるものを以て、気が利くとか利かないとか本当にバカなんじゃないかと思う。職場は顧客へのサービスを生む場であって、お土産を買った買わないなんてしょうもない事を気にして通う場所ではない。しかも、そもそも海外には、職場にお土産を買う文化はない。あったとしてもかなり限定的である。

お土産の強制は忌むべき風習

私が何故これほどにお土産を嫌うかというと、この風習は正にムラ社会の象徴だからである。お土産を買う買わない論争は、狭いコミュニティーに属する人間は、そのコミュニティの中で一定の風習に従う必要があり、それに従わないものは村八分にする、という感覚が前提にある。

そもそも、自分が何かしたら、相手も何かすべきだ、という発想が誤っている。私はそういう相互依存を前提とした考え方が最も嫌いである。

それはあたかも、田舎の押しつけがましい親切に近い。田舎に行くと、飯がたくさん出てくる。食べろ食べろと言われるが、食べたいものを食べたい量、食べたいタイミングで食べたいのであって、無理に食べろ食べろと言われるのは不愉快極まりない。

親切は押し売りしてはいけない、また、人に無理やり共感を求めてもいけない。ましてや、自分が親切にしたからと言って、人が親切にすることを求めてはいけない、期待してもいけない。

寧ろ、人がお土産買ってくるのを期待して自分も土産を買ってくるなんてとんでもない。また、人が買ってきているから自分が買わないといけないという発想もとんでもない。そんな独立心に乏しい生き方をしてはいけない。

人は人、自分は自分、職場は職場。土産は土産、業務は業務。なれ合いや依存、職場のムラ社会化を断じて許してはならない。

職場で誰かが休日にどこかに行った話をしていたら、それを笑顔で聞くべきである。業務に支障が出ない範囲で、適度に会話すべきである。そして、間違っても、お土産買ってきた?なんてコミュニケーションを取ってはいけない。親しい間柄だったとしても、そういうめんどくさい事を相手に求めるようなコミュニケーションを取ってはいけない。

それが、成熟した大人のコミュニケーションであり、ムラ社会からの脱却に繋がるのである。


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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