野村證券の世界進出〜リーマンブラザーズ買収にかけた想いとは〜

2018年1月20日資産運用, 世界史の窓

もともと、野村證券は株の売買を仲介する事で、手数料収入を得るビジネスモデルで成り立っていた。

ただし、オンライン株取引が始まってから、個人投資家が野村證券を通さないケースが多くなり、株の仲介ビジネスは苦戦を強いられている。

とは言っても、業界では圧倒的なガリバーの地位をしめており、個人投資家への売買仲介やアセットマネジメントなどにおいては、他社を寄せ付けない強さである。

事実、株式売買の証券会社としては世界一の地位にある。

そんなガリバーの地位は、創業者野村徳七の時代に徹底した情報収集とそれを武器とした営業力によって作られたと言われている。

その営業力などが脈々と現代に受け継がれ、怖いやばいとんでもない、と言われる営業マン達が生息する企業と言われる。パリッとした身なりで、ゴリゴリ営業するその姿から、ネット上では、野村マンを指して「オールバックは戦闘民族の証」と言われる。

以下はその一例である。

・サラリーマン界の範馬勇次郎
・ヤムチャぐらいなら左手で消せる
・オールバックは戦闘民族の証
・激務故に同僚の女性社員と結婚するケースが多い(美人多い)。 その結果、代々野村遺伝子が強まっていき三代目ぐらいになると 郵便受けの中の新規口座開設の封筒を即時に判別できるほどの 戦闘力を誇るようになるらしい。ちなみに実践投入一ヶ月目の話
・リテールをバカにすると東大一橋ですら平気で一次で落とす
・面接官はスカウター装備
・ものすごい勢いで自転車を漕ぐヒトがいると思ったら野村マソだった
・エライ勢いで牛丼を食うヒトがいると思ったら野村マソだった
・提供講座や就職セミナーでは、明らかに独特のオーラ出してる
・つーかウチは真っ黒ですと言い切って誇らしげな社風
・毎年作るDVDはどうみても黒さ全開だが、以前に比べるとマシにはなってるらしい

就職活動中の学生が複数の企業の内定を受けて、
その中の一社に断りの挨拶に出向いた。
相手企業の担当者は
「まあ今までこちらも世話になったから最後に食事でもおごろう」
とレストランに誘い、丼ものを注文する。
やがて注文された品が配膳されると、
担当者はやおら丼を持ち上げ、学生の頭から浴びせかけて退散した。
就職活動が学生の「売り市場」だったバブル期によく語られたもので、
この企業はなぜか野村證券とされる場合が多かった。
この後、「クリーニング代だ」と言って5000円(あるいは一万円)を置いていく、
かけられるのは丼ではなくコーヒーというパターンもある。
中谷彰宏の著作「面接の達人」の中にもこの話が取り上げられていた。
就職活動中の学生が複数の企業の内定を受け、
その中の一社に断りの挨拶に出向いた。
相手企業の担当者は、
「そんな事を言わずに是非とも入社をお願いしますよ」と翻意を懇願する。
担当者の熱意に負けた学生が、内定辞退を撤回し入社する旨伝えた。
担当者は学生の気が変わらないうちにと、その場で学生が内定を受けた企業全てに、
内定辞退の電話をさせた。やがて、学生が全ての会社に電話を終えると、
担当者は先ほどと打って変わり、「うちの会社をなめるなよ!!」と罵声を浴びせ、
学生に内定取消しを申し渡す。
この企業も、なぜか野村證券とされる場合が多かった

      r  ‐、
      |´∀`|        r‐‐ 、
     _,;ト – イ、     ∧l´∀`|∧   体育会系体育会系と言ってるが 
    (⌒`    ⌒ヽ   /,、,,ト.-イ/,、 l   ウチで重要なのは体力ではない!
    |ヽ  ~~⌒γ⌒) r’⌒ `!´ `⌒)   どんな無茶苦茶なことを言われても  
   │ ヽー―’^ー-‘ ( ⌒γ⌒~~ /|     やってのける精神力だ!
   │  〉    |│  |`ー^ー― r’ | 要するに精神力が有れば体力無くてもOK!
   │ /───| |  |/ |  l  ト、 |   体力は後からついてくる!
   |  irー-、 ー ,} |    /     i   
   | /   `X´ ヽ    /   入  |

とまあ、こんな感じで、ノルマ証券、ヘトヘト証券と言われるほどなので、上述の幾ばくかはあながち嘘ではないだろう。

実際、同社で働く私の知人曰く、全国ベースで営業マンの実績がランクづけされ、上司からロジカルに追い込まれる、同社用語でいうところの、「詰められる」というのは日常茶飯事とのこと。

ただし、牛丼ぶっかけたり、殴る蹴る、というのはほとんどなく、コスト削減などへのいしきが強いロジカルな人が多い会社とのこと。

こんな野村證券だが、日本ではガリバーでも海外に行けば知名度は低い。しかも収益レベルもゴールドマンやメリルリンチ、モルガン・スタンレーなどの投資証券会社には遥かに及ばない。

そんな彼らにとって、世界につうじる投資系の証券会社になるのは、長年の悲願だったといえよう。

そして、2008年、リーマンブラザーズ破綻した際、野村は一世一代の勝負に出た。

欧州のリーマンブラザーズの買収を決定したのである。

この買収では、不動産や有価証券などの資産・負債は引き継がず、投資銀行の最大の財産である人材に絞って買収をしかけた。

欧州・中東部門に至ってはわずか2ドルという備忘価格で、そのネットワークを丸々手に入れた。

買収直後は欧州で雇用されている人材を繋ぎ止めるため、2年間は現状の報酬を約束する、という形で人員を引き止めた。

これにより、欧州中東で6000人の人員を抱え込むこととなり、1人1000万円としても年間600億円が消えていった。

同社が買収後から海外事業で出した損失は累積税前ベースで1.1兆円と言われており、重い海外事業を国内株式仲介業のコスト削減で支えるという状態が続いた。

今では、海外の投資証券市場においても、野村の知名度は高まっており、人材のリクルートも容易になっていったが、それにしても高すぎる買い物だったと言わざるを得ないだろう。

しかも、リーマンショックの傷が深い欧州では、なかなか業績が上がらず、引き続き高いコストがかかり続けているため、今のところは買収は成功だったとは言い難い状況にある。

しかし、野村徳七が創業したこの会社は、永遠のベンチャースピリットと挑戦精神を忘れない会社だと思う。

日露戦争が終結して1年経った時、野村徳七は株価はバブルになっているとして空売りを仕掛けた。しかし、思惑に反して株価が上昇した為、破産寸前までいったものの、最後には読み通り株価が暴落した。

現在の価値にして数百億円の利益を手に入れるに至り、現代の野村グループに至る礎が築かれた。

願いは、本気で願い続ければ、いつか形になる。

日本のゴールドマンサックスになるという野望は、悲願となり、そしていつか実現することだろう。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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