第四次産業革命のはじまり

2018年1月20日日本の論点

今この世に生きている人達は、第四次産業革命という歴史的な瞬間に立ちあっている。
産業革命の4つの発展段階とは以下の通りである。

第一次は、1700年代の蒸気機関と軽工業の時代 〜イギリスの時代〜
第二次は、1900年代初頭の石油と重工業の時代 〜アメリカ、ドイツの時代〜
第三次は、インターネットの時代 〜アメリカの時代〜
第四次は、AI(人工知能)、IOT(モノとITの融合)の時代 〜アメリカ、中国の時代〜

今、世界が好景気に湧き、株高になっているのは、中央銀行の金利政策や量的緩和だけではない。

本質的には、第四次産業革命が進行し、世界の生産性が大幅に伸びていることにある。

例えば、携帯電話はIOT技術の結集であるといえよう。

全然意識しないかもしれないが、ポケットから携帯電話を出して、画面を覗くと、携帯の画面がパッとつく。

これは、携帯の画面が人の顔の方を向く際の遠心力を探知し、画面がつくようにプログラムされた技術である。

まさにモノとITの融合が、全く意識しないうちに浸透している事例といえよう。

また、遠隔操作できる家電や、バスが何駅先まで近づいているかを表示する技術もIOTの賜物である。

更に、シェアリングエコノミーが発展している背景にはIOTの存在が大きい。

例えば、自転車をシェアできるサービスが広がりつつあるが、このサービスは、自転車を追跡可能なGPS機能があり、非接触型の端末で使用者を識別するなどの技術が導入されているからこそ発展しつつあるものである。

最近は金融とITが融合したFintecのサービスが急速に拡大しているが、これもIOTの賜物である。

日本ではまだまだ現金主義が根強いが、海外のFintecの発展には眼を見張るものがある。

ついこの間、中国の深センにいってきたが、あまりの発展ぶりに驚いた。

この都市はつい30年前まで人口30万人の漁村にすぎなかったが、現在では1200万人が暮らす大都会となっている。

今後、10年間で更に500ー1000万人増えるとも言われており、いかに巨大な都市かがわかるだろう。
(ちなみに東京の人口は都心部で1200万人)

深センでは、あらゆる決済が携帯で行われており、市場で魚を買うときも、魚屋の親父が決済端末を持っている。

パン屋で100円の買い物をするときも、携帯で済ませる。

これほどに現金決済が広がった背景には、偽札などが流通することによる現金への不審感や、クレジット決済による手数料の高さ、クレジットカードを発行するほど信用力がない人が多い、などの事情がある。

日本は逆に、偽札がほとんどなく、信用力の高い人が多いため、なかなかオンライン決済が根付かず未だに現金主義である。

しかし、現金で決済するとロスが大きい。まず持ち主にとってみれば、盗難紛失リスクがある。

更に、ATMで出し入れするのに手数料がかかる。

また、店舗側にとってみても、お釣りをレジから取り出す手間や、現金を扱っていることで不正が発生しやすい、などの問題もある。

つまり、現金主義の日本は生産性が低いということである。

そんな日本もいずれオンライン決済へと移行していくことだろう。そして経済の効率がますます高まっていく。これもまた、第四次産業革命の一部である。産業革命には必ず覇者となる国がいる。

第四次産業革命では今のところ、アメリカがシリコンバレーを有しており、圧倒的な覇者となっている。そして、人口爆発により優秀な人材が数えきれず、国内市場が巨大で、海外からの参入障壁が大きい中国がその次にいる。

IOTは物理的な制約が少ないため、国土が狭い国でも覇者となり得るため、これまでの産業革命とは全く様子が異なる。これまでは資源があるか、資源を収奪できるか、国土が広くなければ勝ち目がなかった。

一方、第四次産業革命は寧ろ一極集中していたほうが、人材の交流等を考えるとメリットが大きい。

実際、イスラエルがIOTで台頭しつつある。さまざまな新しいサービスを開発する拠点となっており、それに触発されて世界中から優秀な人材が集まりつつある。日本は国土も広いほうで、広大な海域を有しており、政治経済が安定した世界有数の大国と言える。

今ある財力を生かして、IOT立国を図るべきである。

人口が一極集中している東京は、世界のIOTのハブとしては十分すぎる要素を備えている。

テロが多発しているイスラエルやアメリカ、政治的な制約が大きい中国と比べても、日本は圧倒的に個人が活躍しやすい環境にあるといえる為、第四次産業革命の覇者を目指すべきである。

以上


この記事を書いた人
りーぶら
りーぶら30代、都内在住、男性。

大企業に勤務するサラリーマンで、M&Aを手がけたり、世界を飛び回ったりしている。ぬるま湯に浸かって、飼い慣らされているサラリーマンが大嫌い。会社と契約関係にあるプロとしての自覚を持ち、日々ハイパフォーマンスの極みを目指している。歴史を学ぶことは未来を知ること、を掲げてしばしば世界を旅している。最近は独立して生きる力を身に付けるべく、資産運用に精を出している。好きな言葉 「人生の本舞台は常に将来に在り」

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